野里町歩紀

月1回のペースで大阪近郊の「野」「里」「町」を歩きます。そして合間にちょっと気になったことや世情について思いつくままつぶやきます。ただ論争は好みません。

みなとOsaka

訪問日:平成22年6月12日(土)
出 発:ニュートラムフェリーターミナル駅
到 着:JR「桜島駅


 大阪港は、太古の昔から大陸とわが国を結ぶ重要な港だった。近代においても慶応4年(1868年)「大阪港」として開港し、横浜・神戸と並ぶ貿易港として栄えてきた。その後、港の南部に「大阪南港」が開港した。後に「大阪北港」を埋め立てて作られた「舞洲」「夢洲」と合わせて「咲洲」と呼ばれる巨大な人工島に南港ポートタウンという街が誕生。いろいろな交通機関を利用しながら大阪南港から大阪港までを歩いてみる。
 市街地を歩くので給水・トイレには困らないが、思いのほか日陰がないので暑さ対策をしっかりと。(歩行距離14キロ)

 まずは、地下鉄四つ橋線の終点「住之江公園駅」へ。関西では住之江競艇場で有名であるが、駅のすぐ前には「大阪護国神社」がある。靖国神社同様、戦没者をお祀りし各都道府県に1社(一部の県は複数)ある神社だ。


 大鳥居のすぐ前にある歩道橋に上がるとニュートラム住之江公園駅」への連絡通路になっている。ニュートラムとは、大阪市交通局が運行する新交通システムと呼ばれるもので、専用の高架道をゴムタイヤをはいた車両が、コンピュータ制御により無人で走行する。南港ポートタウンを地下鉄住之江公園駅からコスモスクエア駅まで約8キロ10駅で結ぶ。料金体系は地下鉄に乗り入れているが駅や車両は全く別である。


 南港は周囲がコンテナ埠頭になっているため大型トレーラーの往来が激しい。炎天下に排気ガスの中を歩くのはつらいのでニュートラムに乗ることにする。約10分(230円)で4つ目の「フェリーターミナル駅」に着く。ここは、かつて九州・四国方面への観光・帰省客や大型トッラクなどで賑わっていたが、今では高速道路や新幹線・航空機に客を奪われ、かなり寂れている感じがする。


 フェリーターミナル駅までは埋立地であるものの大阪市内とつながる「陸地」だ。ここから南港大橋を渡ってニュートラムの高架沿いに歩き「島」に渡る。15分ほどで南港ポートタウンの入り口「ポートタウン東駅」に着く。大阪湾を埋め立てて作られた巨大人工島「咲洲」の中心部、約1キロ四方に高層住宅とショッピングセンターなどが建ち並び2万5000人を越える人たちが生活している。


 街には公園や遊歩道が整備され、4つの小学校、2つの中学校、そして高校・大学まである。


 高層マンション群の中を走るニュートラム


 植林された木々も大きく成長し、人工のせせらぎも流れ、とても海に浮かぶ街とは思えない。


 高さ256メートル地上55階建ての「大阪府咲洲庁舎(旧WTCコスモタワービル)」が見えてくれば「アジア太平洋トレードセンター(ATC)」だ。ショッピングモール、アウトレット、レストランなどが並ぶ複合商業施設である。


 ATC前の埠頭には、大阪市が所有する帆船「あこがれ」が係留されている。


 ATCを抜けると緑地が見えてくる。遊歩道を西へ進むと「大阪南港野鳥園」に出る。埋立地の干潟には多くの渡り鳥が羽根を休め、山小屋風の観察棟などが整備されている。


 野鳥園を後にし、左に「海の時空館」という大阪市立の海洋博物館を見ながら進むと「コスモスクエア」という新しい街に出る。運河のように海水を引き込み、ヨーロッパ風の街並みが形成されているが、まだ造成中という感じで空き地も多く見られる。


 この街は、大阪港駅が終点であった地下鉄中央線が「大阪港咲洲トンネル」という海底トンネルで伸張され大阪市内と地下鉄で直結されることにより誕生した。


 コスモスクエア駅横の「シーサイドコスモ」という海浜緑地公園からは大阪港を往来する大型船が間近に見られるほか、大阪湾に沈む夕日や大阪港の夜景が楽しめる。


 コスモスクエア駅から地下鉄に乗る。海底トンネルをくぐりあっという間(3分200円)に「大阪港駅」に着く。駅から海へ向かって進むと右手に元廻船業者であった「天満屋(現天満屋ビル)」というレトロビルがある。


 天満屋ビルの次の角を右折し水上警察の前を通り抜け、天保山ハーバービレッジ方向に進む。途中、水上警察や海上保安庁警備艇の船溜まりに「マーメイド像」が佇む。これは、コペンハーゲン港のマーメイド像の3/4の大きさのレプリカ像だという。


 そのまま進むと「天保山ハーバービレッジ」に出る。巨大なジンベイザメで有名な海遊館や大観覧車、レストラン、カフェなどが並び、夕日も美しいことからアベックのデートスポットになっている。神戸や横浜と違うところは「駅前」ということだ。とても便利だ。


 このまま進めば天保山公園だが、一旦、天保山交差を南に向かい地下鉄を越える。地下鉄といってもここは高架になっている。突き当たりに住友倉庫があるので左折、すぐに「旧住友倉庫」前に出る。


 赤煉瓦造りの倉庫群で時代を感じさせる。


 今は使われていない。残念ながら神戸や横浜のように観光施設として一般には公開されておらず、金網に囲まれたままだ。


 旧住友倉庫の前に小学校と中学校が向かい合って建っているので、その間の道路を北へ。すぐに公園に出るが、その奥にあるのが「住吉神社」だ。昔は天保山の山頂にあったそうだが、山頂に砲台ができたためここに遷座したという。


 そのまま北に進み地下鉄の高架が走る中央大通りを横断し、防潮堤沿いに進む。水上消防署を過ぎれば「天保山公園」に出る。天保山は標高4.5メートルの「日本一低い山」として有名であり、大阪人のいちびり精神から「山岳会」や「山岳救助隊」などがあるらしい。


 天保山が「山」である以上、今回の歩紀は「軽登山」か? 山頂を目指してみよう。山頂は「明治天皇観艦之所碑」という赤煉瓦で作られた記念塔のすぐ後ろにあるが、公園入り口の築山の方が高いので「山頂に向かって坂を下る」ことになる(塔右の白い看板が山頂)。


 登頂に成功した。近所にある山岳会に行くと「登山証明書」というのがもらえるらしい。
 

 「下山」後、山を跨ぐ天保山大橋下の「天保山船場」に行く。目の前の安治川を大阪港を遊覧する「サンタマリア」号が通り過ぎた。


 ここから渡し船に乗り対岸の此花区へ向かう。「天保山渡」は大阪市内にある8つの渡し船のうち、唯一、大正区を発着地としない。詳しくは番外編(市民の足「川底トンネル」と「八つの渡し」)で触れる。

 
 3~4分で無料の船の旅は終わる。目の前は「ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)」だ。10分ほど歩くとJR桜島線桜島駅に着く。ここは以前、貨物線という雰囲気だったが、USJが開園してからは重要なアクセス路線になった。約20分(170円)で大阪駅に結ぶ列車は、コテコテのUSJ仕様だった。


 本日の「歩紀」。交通機関を含め約3時間。次の「ユニバーサルシティ駅」でガラガラだった車内が、お土産袋を持ったアベックや家族連れで満員になった。