野里町歩紀

月1回のペースで大阪近郊の「野」「里」「町」を歩きます。そして合間にちょっと気になったことや世情について思いつくままつぶやきます。ただ論争は好みません。

公務員という人種9~「管轄」~

 今回は、これまで何度も出ている「管轄」のお話です。「縄張り」「縦割り行政」などあまり良い意味では使われませんが、公務員にとっては重要なワードです。というのは、公務員の業務というのは極めて「権力的」です。何も「権力」を振りかざしているというわけではありませんが、国民・市民に一定の行為を強いたり、禁止したり、許認可する権限を有しています。そして、それらはすべて法律や規則などで厳格に規定されているのです。これらを越えて行った場合、即犯罪というわけではありませんが、「違法行為」とみなされてしまいます。

 その管轄には、大きく分けて2つの意味があります。まず、地理的な管轄。国や県・市などが一般的でしょうか。まさに「縄張り」ですね。しかし、この線を越えた瞬間、公務員は単なる「おじさん」「おばさん」になるのです。何の権限行使も1円の公費も執行することはできません。

 

 こんなことがありました。国道477号線。大阪府豊能郡豊能町から豊能郡能勢町に至るまでの約2kmの間、兵庫県川西市を走ります。道路自体は国道なので国が管轄するのでしょうが、側溝部分は府県の管轄になります。

 そしてバイパスが開通するまでの間、川西市の部分のみ側溝がなく、山の湧き水が路面に流れ込んでいたため、冬になれば毎年凍結していました。(今も残る旧国道477号線の川西市部分)

 

 ところが大阪府側に入ったとたん、湧き水はすべて側溝に流れ込んでいるので乾燥路です。

 

 この2kmのため「凍結注意」。しかし、仕方がないのです。これが管轄というものなのです。

 次に事務分掌。いわゆる「縦割り行政」でしょうか。現実的ではありませんが、良い例がありました。「シン・ゴジラ」という映画を思い出してください。ゴジラがまさに東京を破壊しようとしているのに、自衛隊出動の「法的根拠」があやふやです。そして、この業務はどの部局がするのか。その度に会議か開かれます。記者会見での説明責任も。法的根拠がなければ、良かれと思ってやったことでも、後に違法行為としての責任が問われるのです。もう少し具体的な例を挙げれば、最近問題になっている「クマ退治」でしょうか。「緊急銃猟」や警察官による駆除が法で定められるまで、それをやってしまうと法律違反になってしまいます。公務員は採用される際、「憲法及び法令を遵守する」という「職務の宣誓」を行っているので、公務員の身分を以って法令を破ることは、絶対に許されないのです。

 ということで公務員は、管轄を越えて業務をすることは一切ありません。これは仕事をしないのではなく、権限行使ができないということなのです。それを安易に認めてしまえば「超法規国家」。言い換えれば、公権力者の恣意によって何でもできる「強権国家」になってしまいます。「一党独裁国家」や「銃好きの指導者」がいる国では、すぐにでも自動小銃を撃ってくれるのでしょうが、日本でそれを求める国民はいるでしょうか。

 これらを「お役所仕事」とういのでしょうが仕方ありません。「お役所」なのですから。(続く)