野里町歩紀

月1回のペースで大阪近郊の「野」「里」「町」を歩きます。そして合間にちょっと気になったことや世情について思いつくままつぶやきます。ただ論争は好みません。

紅葉の里山と能勢妙見

訪問日:平成21年12月1日(火)
出 発:阪急バス「箕面森町地区センター」
到 着:能勢電鉄妙見口駅

 「能勢妙見」。正式には「日蓮宗無漏山眞如寺境外仏堂能勢妙見山」。大阪府豊能郡能勢町地黄にある「眞如寺」の飛び地である。「眞如寺」は、日蓮宗に帰依した能勢の領主「能勢頼次」が開いた同宗派関西唯一の霊場として、近畿一円から参拝者が押し寄せ「能勢の妙見さん」として親しまれている。

 妙見参りは、能勢電鉄妙見口駅」を出発点とするのが一般的であるが、豊能町ときわ台の東にそびえる「青貝山(391.4メートル)」の西麓から吉川の集落を抜け、兵庫県川西市黒川にかけて日本一と言われる「里山」が残されていることから、近年開発された「箕面森町」を出発点として紅葉の里山を楽しみながら歩くこととした。「豊能路」編に入れたが、豊能町のほか箕面市兵庫県川西市能勢町を歩く。

 妙見ケーブル前までは舗装された緩やかな里道を歩くが、そこから先の妙見山上までは登山コースである。今回歩く「新滝道」は、妙見さんへの参詣道として開かれた最短距離のコースであり、大部分が舗装道と石段であるが、途中、山道になるのでしっかりとした靴を選びたい。下山はケーブルを使う。箕面森町バス停、妙見口駅妙見山上に売店やトイレがある。妙見山上には湧き水がある。(歩行距離13キロ)


 阪急バス「箕面森町地区センター」。最近開発された箕面森町ニュータウンの中心地である。新しい森の町ということで「森町(しんまち)」と名付けられた。大阪市内方面からであれば千里中央から阪急バスに乗り約25分(400円)で到着する。


 バス停から西(東ときわ台)方向に7~8分歩くと右に大きなヘアピンカーブが現れる。春は山桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪、雨の日は墨絵のごとく、ここからの景色は素晴らしい。正面一番奥の山が「妙見山」。左下に見える「山への入り口」が今日のスタートだ。


 せせらぎ沿いの林間道をゆっくりと登る。


 元水源地ダムを左に見ながら歩いていると右に「炭焼き窯跡」がある。


 さらに進み最後に坂道を登り切ると「吉川峠」だ。携帯電話基地局の左側が今歩いてきた道。その左は、天台山、光明山を経て妙見山への登山道。右の道を行くと尾根道を経て東ときわ台の住宅地に合流する。なお、この道は「妙見街道」と呼ばれ、池田と妙見山を最短で結ぶ道だ。住宅地を抜けた所で再度出現し、兵庫県との府県境である尾根道を進み、途中「伏尾ゴルフ倶楽部」の敷地内を通るが、最終的には池田市古江町を抜け、余野川にかかる古江橋北側で旧能勢街道(国道173号線)に交わる。ここからは「妙見街道」を進む(写真は、振り返って撮影したので、峠を越えれば真っ直ぐ進むことになる)。
 

 「東ときわ台住宅地」を左に見ながら尾根道を進む。


 街道は、すぐに林間道へと入る。


 ゆっくりと下っていくと大きなカーブの左側に「炭焼き窯跡」が見える。


 そして2~3分も歩けば急に景色が開け、高代寺山をバックにした「里山」の風景が広がる。この景色はいつ見ても涙が出るほど美しい。


 紅葉の里山を見ながら下っていく。


 途中「大阪みどりの百選」にも選ばれている初谷川を渡るが、小さな橋を渡ったところにお地蔵さんと立派な石灯籠がある。


 保育所を過ぎて国道477号線を渡れば能勢電車「妙見口駅」だ。ここはゴール地点でもある。駅を過ぎて進む。ここからは、妙見街道と明治になって開かれた「花折街道」が重複する。ここは参詣客を相手にした旅館だったのだろうか。


 右手に吉川公民館が現れる。公民館の敷地内に入る(門が閉まっていれば横の隙間をすり抜けて入れる)。公民館の左横には「吉川の常夜灯」が2基並んでいる。かつて参道脇にあったものを移したらしい。


 元の道に戻っても良いのだが、常夜灯横からそのまま民家の軒先を進んでいく。前に見える小さな橋を渡り、足下に気をつけながら川のコンクリート護岸壁の上を歩き元の道に戻る。


 右側に古い学校の跡がある。「旧吉川中学校」。山の学校そのままだ。今は「オイスカ」というアジア・太平洋地域での農業支援等を行うNGO団体の研修センターとして使われている。春は桜が美しい。


 このお宅も昔は宿だったのだろう。


 吉川八幡神社への分岐点(ここまでは、古城と古刹、そして猪鍋うどん「高代寺山」でも歩く)を過ぎ、坂を登ったところで先ほど渡った国道477号線に合流する。そのすぐ左には妙見山まで22丁(1丁=約110メートル)を示す「丁石」が傾くように立っている。このような丁石や灯籠、鳥居などは、妙見講と呼ばれる信徒集団により寄進されたもので妙見山周辺には多数残っている。


 国道を渡れば「稜線展望コース」との分岐点であるが、案内板に従い「新滝道」方向に進む。そしてすぐ右を見上げれば、土手の上に崩れた「常夜灯」が並んでいる。かつての参道を照らしていた常夜灯だ。土手の上に上がってみる。


 「大杉池」と呼ばれる貯水池に黒川方向の里山が美しい。


 そして右に目を移すと、茂みの中にひっそりと鳥居が立っている。「旧参道の鳥居」だ。最終的には、先ほど分かれた「稜線展望コース」に合流するのだが、今は廃道となり立ち入り禁止になっている。「鳥居ファン」の私でもさすがに入れない。


 土手を下り右に進むと兵庫県との府県境を越える。そのまま進み右に曲がればケーブルの「黒川駅前」を通り新滝道に出るのだが、少しでも山道を歩こうと思いすぐ右にある鳥居をくぐる。鳥居の右足元にも「丁石」が立つ。奥の石段は旧参道に続く道であったが、今では廃道となっている。茂みの中に石灯籠と鳥居が立つ。

 
 落ち葉を踏みしめ歩くと、丁度妙見ケーブルの黒川駅の上で「新滝道」と合流する。


 ここから頂上まで妙見さんへの参道だ。御山まで16丁。


 参道沿いには、神社や滝行場のほか石仏やたくさんの祠が並び信仰の道であることを感じる。


 途中からこのような山道になる。この後、野鹿の親子が前を横切った。また、大きな青大将が横たわっていた。今年の冬は暖かい。12月に入って見頃の紅葉。そして本来冬眠しているはずのヘビ。冬眠前のヘビは動きが鈍い。のぞき込んでも逃げようともしない。


 紅葉が美しい。


 丁石で距離を確かめながらさらに登る。御山まで1丁。あと100メートルほど。この石段の上が妙見山だ。


 能勢妙見への入り口に立つ大鳥居に着く。妙見山日蓮宗の寺院だが神仏習合の名残で参道を含め多くの鳥居がある。


 能勢妙見の開基は能勢頼次である。頼次は武人である。狛犬ならぬ武人の象徴「馬」が左右に立つ。モミジが美しい。


 参道の石段をしばらく進み右に折れると大きな忠霊塔が立ち、そのすぐ後ろに「妙見山」の三角点(660.1メートル)がある。丁度、頂上は兵庫県川西市大阪府豊能郡能勢町豊能町の3市町の境となっている。私はあまり頂上にはこだわらないので、そのまま進むことにする(以前訪れた際に頂上は極めている)。右手にガラス張りの異様な建物が見えてくる。「星嶺会館」と呼ばれる信徒会館だ。上から見れば星の形をしているらしい。妙見信仰とは北極星信仰のこと。中には広間の休憩室と自販機やトイレがあり誰でも利用できる。この前の展望台からの景色は素晴らしい。天気が良ければ、遠く大阪湾から淡路島、明石海峡大橋が見える。


 星嶺会館を過ぎれば本堂への門に続く。この門が川西市能勢町との府県境となっている。星嶺会館は兵庫県だが本堂は大阪府にある。


 本堂。線香の香りが漂い読経が聞こえる。


 境内脇にある食堂。良い雰囲気だ。昔は参拝客相手の宿だったのだろう。


 少し歩くと「妙見山簡易郵便局」に出る。山の上の郵便局だ。ここまで警戒に来るお巡りさんも大変だろう。


 参拝を終え正面の大鳥居まで戻り、そこから案内板に従い「妙見の水広場」方面へと向かう。リフト乗り場を見ながら寺院や霊園を過ぎ、緩やかな下り坂を歩いて行くと「大堂越コース」との分岐に出るがケーブル方向に進む。


 リフトの下をくぐりしばらく進むと「妙見の水広場」に出る。奥に見えるのが星嶺会館。位置関係がよくわかるだろう(写真は妙見の水広場後方の高台からの眺め)。


 ここには食堂やバーベキューセンターちょっとした子供の遊具などがあり、片隅には「妙見の水」というミネラルウォーターが湧いている。


 また広場の奥には「台場クヌギの広場」がある。台場クヌギとは、薪や炭を作るため根元より数メートル上の枝を払い、枝の再生力により繰り返し利用する先人の知恵だ。この地方ではよく見られる。


 「妙見の水広場」を後にする。数分で妙見ケーブル「山上駅」に着く。妙見ケーブルは、妙見山の参拝客のため戦前に敷設された軌道であり、戦時中、鉄供出のため一時廃線となったが、昭和30年中頃から再運行され能勢電車が経営している。山麓の「黒川駅」との間を最大勾配23度、全長600メートル、高度差229メートルを5分で結ぶ(片道270円。冬期は運休するので注意)。


 黒川駅に着く。紅葉の里山が美しい。春、軌道は桜のトンネルとなる。黒川地区では今でも炭焼きが行われており、ここや能勢で生産された良質の木炭は大阪池田に運ばれ「池田炭」として販売される。火持ちが良く茶の湯で重宝されているらしい(織姫伝説の町「池田」でも触れる)。


 ケーブル前から国道477号線に出て、往路に通った府県境を越え妙見口駅へと向かう。


 能勢電車「妙見口駅」。木造の無人駅だ。そして大阪府最北端の駅。このままの姿であることを望む。「開通50周年」の記念塗装車両が見える。本日の「歩紀」4時間10分。


 「山への入口」は、平成28年2月29日まで「水路トンネル工事」のため閉鎖されていますので、ご注意ください。


 平成26年12月6日現在、「山への入口」は開通したようです。なお、今後の工事の進捗状況により再度、閉鎖されるかも知れませんので、ご注意ください。
 

平成26年6月22日から平成28年2月29日までの間、再度、閉鎖されています。

迂回路のご案内。そのまま「山への入り口」を右に見ながら、真っ直ぐ西に進んでください。5分ほどで「豊能町」に入ります。そのまま進んで、一つ目の信号を右折。「東ときわ台9丁目」のバス停を過ぎれば「東ときわ台小学校」の前に出ます。そこで道が直角に曲がりますので、角(小学校のフェンス横)のガードレール脇から山道に入ります。これは、旧妙見街道です。しばらく歩けば、文中の「携帯電話基地局」の前に出ます。「野里町歩紀~思いつくままに~池田、細河から妙見街道を歩く」参照。